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[コメント] さらば愛しきアウトロー(2018/米)

ロバート・レッドフォードの俳優業引退なんて眉唾だろうと思いながら(いやそうあって欲しいと思いながら)、レッドフォードやケイシー・アフレックの造型と同等レベルでシシー・スペイセクチカ・サンプター(アフレックの妻)の鷹揚なキャラクターがたまらなく良いと思った。
ゑぎ

 レッドフォードとアフレックは合わせ鏡。サンプターはアフレックに「彼はあなたと同じ」と云う。ならば、サンプターとスペイセクも合わせ鏡なのだろう。

 さて、演出に関して云えば、冒頭の白い車が青い車に交換される、壁とペンキ塗りの子供達を使った演出で、早くも快哉を上げる。すぐさま、スペイセクの登場と、余裕綽綽のダイナーでの会話シーンが来て、もうこのあたりで、本作の演出のリズムが揺るぎなく決まるのだ。

 最も良いと思った部分は、中盤の、いくつか銀行強盗の様子を繋いだシーケンスだ。女性行員の感想「ハッピーに見えた」というのがいい。その後、セントルイスの大きな銀行を、向いのビルの屋上から見下ろすカットに繋ぐセンスにも唸ってしまう。

 劇伴はダニエル・ハート。特に本作は『セインツ-約束の果て-』のクラッピング(手拍子)を取り入れた音楽を思い出さずにはいられない、リズム感が特徴だ。デヴィッド・ロウリーは、本作まで4作とも撮影者は変えているのだが、作曲者は同一である、ということを考えると、ロウリー演出にとっての劇伴の重要性が分かるというものだ。

#脱獄のフラッシュバックを繋げる部分で『逃亡地帯』の若きレッドフォード。映画館でスペイセクと2人で見るのは、モンテ・ヘルマン『断絶』。

(評価:★4)

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