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[コメント] 野性の叫び(1935/米)

これもウィリアム・A・ウェルマンの画面は抜群の安定感。それもあってというべきか、本作もクラーク・ゲーブルの男っぷりには惚れ惚れする。いや、ゲイブルの揺るぎない陶冶された人格が、画面の安定感に与しているのか。とにかく、メチャクチャ格好いいのだ。
ゑぎ

 冒頭、ユーコン川畔の町の描写で、その泥濘の質感に、泥んこ映画好きとしては嬉しくなったのだが、もっとこういったシーンが続くのか思うと、以降出てこないのには少々失望。ジャック・ロンドンの原作も大好きなので、原作とどうしても比較したくなりますが、これはあくまでもハリウッド娯楽作として作られているので、仔細に比較することは避けましょう。ヒロインのロレッタ・ヤングやコメディパートを務めるジャックオーキーのキャラクター造型で、随分と面白くなっているのは確かなのだ。ただ、本来の主人公であるべき橇犬バックがもう少し比重を置いて描かれていいと思うし、タイトルを表す、バックが狼の群れに合流し、野性に回帰する描写はもっと幽玄さがあった方がいいと思う。

 ラスト近く、ゲイブルが悪役レジナルド・オーウェンと対峙するシーンで、小さな後退移動が2回ある。このカメラの動きは流石に目に留まる。

(評価:★3)

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