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[コメント] 羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来(2019/中国)

例によって、何の予備知識もなく見たので、冒頭から、これ何なの?どうしてこうなるの?といった疑問符の連続で、そういう意味でも楽しかった。主人公の黒猫、小黒−シャオヘイ。その尻尾から出る小さな黒い球体は何なのだ?とかです。
ゑぎ

 ま、私は、理解するために映画を見ているわけではないので、面白ければそれで良いのだ。それに、本作もデフォルメされたデザインが特徴で、プロットや、科白もギャグテイスト満載。タイトルに戦記とあるところから、普通に写実的な(ジブリ程度の)作品と予想していたのだ。ちょっと拍子抜けした。笑えないギャグも多いが、もう古典的と云ってもいい反復のアクション等は楽しめました。例えば、シャオヘイが、ムゲンから何度も逃げようとするが、次のカットで縛られている、あるいはシャオヘイの愚痴や悪態の反復といったような演出。あとは、妖精たち(というより妖怪という言葉の方がしっくりくる造型)や建造物の中国文化的意匠と、スマホやファストフード、ショッピングモールといった、21世紀の文化の混淆も面白かったです。

 妖精たちの能力に関する用語とその内容について、空間系とか、領界と己界とか、霊域だとかについても、よく理解できないまゝ、あれよ、あれよという間に一大クライマックスに突入した感があるが、なかなか見応えのあるクライマックスであったと思う。一つの都市(龍遊市という)全体を巻き込んだ、巨大な黒い球体の「領界」にまつわる描き方は、ちょっと「シン・ゴジラ」を思い出したりもしたが、結局、戦記というにはミニマルな対決で、決着がついてしまうのだ。しかし、闘いのアクションはよく見せます。あと、エピローグのシャオヘイの選択は、予定調和か。本作の真の主人公はムゲンだと思えるが、彼が人間である、というのが、最後までひっかかる(彼自身も「もはや、妖精に近い」と自己評価するが、どう見ても、妖精にしか見えない)。

(評価:★3)

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