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[コメント] れいこいるか(2019/日)

まずは良い点。このような題材なのに、回想やフラッシュバックなし。どんどん時間を経過させる構成だが、説明科白はほとんどなし。そして、あからさまに悔悛してメソメソする場面もなし。しかし、寂しさを押し殺した笑顔と、ひょうきんさが溢れている。
ゑぎ

 ひっかかった点。まず、地震の描写は、もうちょっとあっていいんじゃないかと思った。この簡潔さを良さととるかは意見が分かれるかも知れない。また、繋ぎで戸惑った部分がいくつかある。卓球の先生(少年)との帰り道に、その母・西山真来(西瓜を持っている)が登場するが、路地でのDV場面から続くシーケンスは、太助・河屋秀俊の想像(小説家としての)かと思ってしまった。これに、クロスカッティングされる、伊智子・武田暁と脚本の先生・上西雄大との酒屋でのパーティも含めて、まるで夢のような画面・演出なのだ。あと、眼病で白杖をつくまでになった伊智子が、唐突に店の前を掃除しはじめる繋ぎは、てっきり、回想に入ったのだと思った。手術をした、というような説明は一切なし。キリスト像の奇蹟か?アーメン、ソーメン、ヒヤソーメンの。いや伊智子が奇蹟の人か。

 良い点に戻る。俳優陣は、脇役を含めてみんないいと思う。伊智子、武田暁は全編に亘って見事な存在感だ。冒頭近く、いきなり胸をさらけ出し、膣痙攣を演じる時点で、既に感激する。また、その際の相手役(浮気相手)で、中盤から、スナックのママになる時光陸という役者も面白いと思った。あと、太助の父親・豊田博臣と伊智子の母親・美村多栄の存在も、良いアクセントになり、映画のリズムを整えていると思う。豊田博臣の歩く姿がいい。

(評価:★3)

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