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[コメント] スチャラカ社員(1966/日)

大阪駅前。朝の出勤風景。長門勇中田ダイマル中田ラケットルーキー新一が、同じビルの同じエレベーターに入るオープニング。
ゑぎ

 彼らは屋上にあるプレハブ社屋(?)の、都田物産社員。社長はミヤコ蝶々。事務員に当時17歳の新藤恵美。加えて20歳になるかならないか、という時期(「仮面ライダー」の5年前)の藤岡弘が、ライバル会社社員として登場し、これらが主要登場人物だ。

 当時の関西芸人が多数ゲスト出演して、もちネタ、ギャグを披露するのが眼目のような映画になっているが、私は懐かしいなぁと思いながら見たが、今では、ほとんど笑えないモノばかりだ。ただし、全般に、ダイマルラケットの掛け合いには、結構くすぐられる。特にダイマルのボケは、今見ても面白いと思った。

 ゲスト出演で登場する関西芸人で、映画の画面造型、という意味で、一番重要なのは、終盤で登場する宮川左近ショーだ。山崎街道のドライブインで、唐突に登場し、ネタを披露するのだが、浪曲ネタのあいだ中、ルーキー新一と南道郎らが、スパゲッティの投げ合い、科白なしのドタバタを展開する。さらに、長門とダイラケらの乗るマツダR360が、クロスカッティングで挿入されるのだが、走りながらボンネットが外れたりするのだ(『カリオストロの城』のフィアット500のよう)。このシーンの終わりでは、宮川左近ショーの3人だけがボロボロになって演奏している、というナンセンス。この一連の演出は見応えがあった。

 あとは、西日本の独立ニュースを伝える、森乃福郎のテレビアナウンサーも書いておくべきだろう。今から標準語は大阪弁になります、と云って大阪弁でニュースを読み出す。この辺りの趣味は前田陽一らしさだと感じたが、ひとつのネタで終わってしまい、プロットを展開させる使われ方はしない。

 映画全体の構成として、中盤以降、蝶々さんが、一人で金策行脚に出て行き、主要キャラとほとんど絡まないのが、本作の敗因(は云い過ぎか、物足りなさ)の一つだと思った。蝶々さんがプロットをドライブさせる活躍を見せていれば、また違っただろう。最後に、若き新藤恵美が可愛い。関西弁の口跡もいいので驚いた。

#備忘で、その他配役、ゲスト出演者などを記述します。

・「その頃、社長は...」という字幕が出て、蝶々さんの金策場面が挿入される。札束、実はほとんど白紙を渡す佐々十郎。阿波踊りのかしまし娘。牛を持ってけと言う茶川一郎。アイヌの人は南都雄二

・長門が、あんま機のセールスで行く散髪屋には、上方柳次上方柳太。こゝで、売るのではなく、貸すことを思いつく。都田物産はリース会社になる。

・電信柱の上にいる整備士は、若井はんじ若井けんじ

・藤岡と新藤は祇園祭へ行くが、新藤は、横山アウトへ引き渡される。

・藤岡が入社するライバル会社テキサス・リースの支社長は、ビンボ・ダナオ。その秘書で通訳もする西岡慶子。幹部社員は穂積隆信

・夜中に、夢路いとし喜味こいしが、武器、戦車、マスクを借りに来る。

都はるみの偽物を連れてきたつもりが本物だった。歌は「さよなら列車」。

・藤岡と新藤恵美が乗っているのは、ダットサンフェアレディ。

(評価:★3)

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