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[コメント] スイング・ステート(2020/米)

プロット主導の作品であることは、見る前から予想がついたが、矢張り、確かにそうなのだが、画面も上手く構成している。牧場と田舎町の牧歌的風景と、宣伝ビデオの挿入などで緩急をつける。
ゑぎ

 また、基本、主人公の民主党選挙参謀−スティーヴ・カレルが一人でプロットを引っ張る構成というのも想像通りだが、本来、もう一人の主人公となるべき、町長候補者−クリス・クーパーが意外と弱く、中盤消えてしまうのが予想外だった。その代わり、クーパーの娘を演じるマッケンジー・デイヴィスと、カレルの宿敵の共和党選挙参謀、ローズ・バーンの2人の女優が目立っている。

 まずマッケンジー・デイヴィスは、牧場で牛の世話をしている彼女が、カレルのミタメでスローモーション、という清冽な登場カットが与えられている。もう登場から、カレルとのロマンスも予想させる特別な人物だと宣言されている感じだし、事実、後半は本作の中で最も重要な人物として描かれるのだ。また、ローズ・バーンも登場から印象的で、こちらは、パン屋(?)のイートイン(カウンター席)に座っている後ろ姿カット。隣に席に着いたカレルとの会話シーンになるが、去り際に、カレルの顔をベロっと舐めるという強烈なコメディエンヌの造型だ。

 上で、クリス・クーパーが中盤から意外と目立たない、と書いたが、これも計算されたものかも知れない。あまりヒーローとして祭り上げられるのも考えものなのだ。そういったことを考慮しても、カレルがクーパーに、真実(画面で演じられているように)心酔しているのか、いや、単に民主党支持者獲得のための道具としか見ていなのか、といったあたりで、もうひとひねりあっても良かったと思う。正直云って、私には、クーパーが大した人物には見えなかった。

(評価:★3)

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