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[コメント] 猫は逃げた(2021/日)

猫の名前はカンタ。カンタの飼い主は、漫画家の亜子(山本奈衣瑠)と雑誌記者の広重(毎熊克哉)。二人は夫婦だが、それぞれ編集者の松山くん(井之脇海)、同僚記者の真実子(手島実優)という浮気相手がいる。
ゑぎ

 カンタが、亜子と広重の家を出て行くシーンは、確か2回あったと思うけれど、2回目のシーンでは庭のフェンス越しのカットがあり、ひっかかった。これは釣りのようなカットだったのだ。

 また、唐突な回想シーン(過去シーン)の挿入は、驚きがあっていい。まずは、いきなり亜子と広重の結婚前のカラオケシーンが繋がれる部分。亜子が小泉今日子の「あなたに会えてよかった」を唄う。こゝはカンタとの出会いの日の場面でもある。あと、真実子(手島)に関するフラッシュバックも上手い見せ方だと思わせる。このような、ちょいちょい予想を外したプロット展開を見せる映画だが、予想に反して緩い、という展開も多く、ちょっとフラストレーションが蓄積される部分もある。

 例えば、真実子(手島)のマンションの部屋に、広重(毎熊)がやってくる部分は、私は、広重でなく、亜子(山本)と松山くん(井之脇)が来るのではないかと予想していたのだ。あるいは、こゝで4人で修羅場が現出、でも良かったと思う。この後に、亜子と広重の家で、4人正面カットでの長回しの会話シーンが用意されているが、こゝは少々ワザとらしい緩い展開だと思うのだ。 あと、映画中映画「ノーパン夫婦」の中の、アガペーとエロースの反復も、やり過ぎでワザとらしいし、その映画監督(オズワルド・伊藤俊介)へのインタビューシーンもアザとく感じる。

 上に書いた4人並んだカットもそうだが、本作も人物の切り返しの少ない演出手法で統一されている。私は、こゝぞ、という場面では、かっちりした切り返しを使って欲しいと思う。最後に書くのは気が引けるが、カンタだけでなく、そのお相手のミミも含めて、猫の演出は見せる。つまり、緊張感がある。たいへんな苦労がうかがえるが、やすやすと演出しているように見えるのがエライ。

#タイトルは「猫なのに」の方が良かったんじゃないか(城定秀夫が書いたスクリプトの当初のタイトルはこれらしいです)。

(評価:★3)

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