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[コメント] ウェディング・ハイ(2022/日)

式当日の控え室へ入って行くウェディングプランナーの篠原涼子、その後ろ姿。この冒頭シーンで、控え室の新郎−中村倫也は映るが、新婦をちゃんと映さないのは違和感を覚える。不誠実というか。
ゑぎ

 式場へ向かう新郎新婦のショットでやっと新婦−関水渚を映すのだ。この後、映画のメインの時間軸は、式から披露宴終了後までの数時間だが、新郎新婦の馴れ初めから始めて、主要登場人物(家族、来賓、友人だち)の紹介めいたフラッシュバックが、その人物のモノローグ付きで挿入される、という趣向だ。

 こういった落ち着きのないプロット構成は予想通りだが、画面が安っぽいのも危惧していた通りで、もっと画面造型で、ぶっ飛んだ面白さを見せて欲しかったというのが、偽らざる感想だ。ただし、プロットというか箱書きの並べ方は、よくできていると感心する部分が多々あり、映画のそういう面を楽しむ観客には、よくできた映画という感想になるとは思う。言葉遣いはイヤらしいかも知れないが、私もプロット展開という限定的な範囲では、十分に楽しく見た。実際のところ、これって、どこまでがスクリプトなのか、演出と編集の創意なのか、私にはよく分からないのだが。

 さて、こういった映画は、ツッコミを入れるのも楽しいところだと思います。良い点・悪い点とり混ぜて、特記したい事柄を記述します。

 まずは、来賓代表スピーチをやる高橋克実皆川猿時。これがウケるかどうかについては、私の予想と違っていた(多分大方の予想と違ったのではなかと思う)のだが、しかし、そのスピーチ内容を端折って見せるので、全然説得力がないではないか。皆川の回想の中のコーラ一気飲みは面白かったが。

 続いて新郎の後輩−ロシア映画に影響されて映像作家を目指したという中尾明慶が作った新郎新婦の紹介ビデオ。これが『惑星ソラリス』なのだ。バッハの劇伴、ロシア語の字幕付きというシロモノ。上映後、賞賛されるって、中尾の幻想に違いないと思ったのだが。スパシーバとは恐れ入る。

 そして、四組の余興のシーンは盛り上がる。これは素直に良い場面だと思った。劇中で披露宴参加者の皆が、良かったと云うのも納得性がある演出だ。できれば、六角精児の動線を丁寧に見せられていればと思うが。

 さらに、終盤の向井理岩田剛典のクダリ。これ、時間を巻き戻して取り出して見せるのではなく、披露宴の進行と時系列に、クロスカッティングで描いていたら、どうだったろう。演出・編集は複雑になるし、一部の伏線回収の妙味も薄れるが、私は、クロスカッティングの方が興奮したように思えるのだが。いずれにしても、脱糞ネタの見せ方は中途半端でツマラナイ。こんなレベルの画面しか作らないのなら(多方面への忖度の結果だろうが)、やらない方がいいと思った。

 あと、プロット構成の都合上、序盤から中盤まで篠原涼子が消えるので(その分、群像劇のダイナミックさは出ている)、映画の求心力、という点で心配したが、後半は主役らしくなる。部下の臼田あさ美の存在もいい。

(評価:★3)

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