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[コメント] スパゲティコード・ラブ(2021/日)

心の声モノローグが、うざい、あるいは陳腐、と思った部分もあるが、口に出した科白と裏腹な心の声ってやっぱり面白いなと思う。
ゑぎ

 フィクスも無くはないが、全編ほゞ浮遊するようなカメラワーク、スタイリッシュな構図、カッティング。これらも、やり過ぎず、好感の持てるものと私は思った。ズームは、基本使わない(ゼロではないが)、というのも好きだ。

 本作を見たいと思った私の目当ては、沢山の期待の若手俳優(各種解説などでは13人の若者たちの物語と紹介されている)を見たかったから、というものだが、倉悠貴三浦透子清水尋也土村芳あたりは、映画、テレビドラマも含めて、もうお馴染みの面子という感覚でもあり、やはり既にかなり売れっ子なので、本作中でも、各エピソードの中心にいて安定している。そういう意味では『うみべの女の子』や『MINAMATA』を見て、今注目している青木柚と、本作で初めて意識したが、売れない写真家を演じる古畑新之のパートが新鮮に感じられた。それぞれのエピソードで登場する女の子−xiangyu八木莉可子上大迫祐希らも初めて見たが、皆キャラ立ちも良く、これから売れるだろうと思わせる。

 xiangyuという人は、青木柚の彼女役で、いつも死に方の話ばかりしてる女子高生。彼らのカフェでの会話シーンが、心の声モノローグを廃して、リズムよく成立しており楽しかった。しかし、全編で一番インパクトを残したのは、モデル役の八木莉可子じゃないかしらん。古畑が準備した撮影プランにダメ出しする場面、及び会議室のテーブルにペンで殴り書きをする場面の迫力は、本作で最も驚かされた部分だ。上大迫祐希と古畑新之による東京に関する言及は、昔からコスられ続けている認識という気もする。さらにウエイトレスの土村芳は、このキャラだけ、昭和のドラマのような古めかしさと思ったが、この面倒くさいキャラになんかホッとしてしまう自分もいる。これも計算されたものだろう。

 尚、冒頭は満島ひかりのアップカット。場所はゲームセンターで、泣き叫ぶ子供を走って行って抱きしめるシーン。これ、全く意味不明のシーンだが、色遣いやスローモーション活用も凝っていて、良いオープニングだと思う。満島は倉悠貴と、すれ違うだけの絡み方だが、多くの登場人物たちも、それぞれがニアミスするだけだったり、数珠繋ぎ的に繋がっているだけだったりし、深く関連するわけではない、という作劇だ。これも好悪が分かれそうだが、この緩い繋がりの見せ方が本作の肝だろう。私はこれが本作の良さだと思う。

#満島同様、13人の若者以外のベテラン俳優として、タクシー運転手の甲本雅裕、芸能事務所の管理職?で尚玄、土村芳のパートナー役で尾上寛之が出てくる。

#ロケーションは渋谷が多いが、アテネフランセのピンクの壁もワンシーン映る。

(評価:★3)

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