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[コメント] 恋する遊園地(2019/仏=ベルギー=ルクセンブルク)

開巻、ベッドのジャンヌ−ノエミ・メルラン。このシーンで早々に胸をさらけ出す。この映画は、メルランの肢体が見所ですよ、という宣言なのだ。
ゑぎ

 あらためて、メルランのスタイルは、決して良くは無いと思ったが(お尻がでかい。これは好みの問題もあるが)、顔が小さく、視線が強いので画面に映える。しかし、全裸のカットで、ぼかしを入れるのは、なんとかならんのか(ぼかし無しで、今のレイティング、R15のまゝでもいいじゃないか)。

 体液の隠喩として、川と滝の濁流(白濁)、浴槽の泡。黒い機械油の執拗な描写。また、光の洪水は、遊園地の遊具「MOVE IT」との「未知との遭遇」シーンだけでなく、ジャンヌの部屋の中の模型や、いっぱいの豆電球、居間にはミラーボールの光まであしらうこだわりようだ。あるいは、ジャンボという名は、幸せ貯金の貯金箱と、ジャンヌのリュックサックの絵にも関連している、というのもこだわりの演出で、アイキャッチする。

 さて、遊具「MOVE IT」の描き方は、全部ジャンヌの妄想とも取れる演出だ。例えば、母親と引き合わせた場面では、ジャンヌがオペレーションしていたのだし、その声はジャンヌだけに聞こえる。だが、ノエミ・メルランの体当たりの、しかし繊細な演技によって、本作のファンタジーは、私には納得性がある。妄想か現実か、なんてことは愚問なのだ。ジャンヌにとっては紛れもない現実であり、私にとっては映画的現実だ。なかなかの佳編だと思う。

(評価:★3)

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