コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女(2022/韓国)

主人公は、釜山港に近いペッカン産業という廃車処理場に勤める女性。演じるのはパク・ソダムだ。社長からはチャン課長と呼ばれる。彼女が邦題の「パーフェクト・ドライバー」だが、実はこの邦題、本作の面白さを矮小化するタイトルだと思う。
ゑぎ

 主人公は天才ドライバーであるにとどまらない、ホンモノの「戦士」ではないか。邦題は本作の面白さを限定的にしている。原題の「特送」の方が、タイトルとしてよっぽど相応しいし、カッコいい。

 まず、最初のBMWで「特送」する仕事の場面。こゝで一気にテンションが上がる。一つ一つのアクションは、見たことのあるアイデアとも思うが、それでも見せ方に瞠目し、心掴まれる。ドリフトして縦列駐車。細い路地の突破。列車と踏み切りを使った切り抜けなどなど。この冒頭で、アドレナリンは放出状態になる。正直云って、以降、冒頭と並ぶようなカーアクションは、あまり無い。スプリンクラーで水浸しになった立体駐車場内における、サイコキラーのような、やり過ぎ男とのカーアクションぐらいか。しかし、華奢に見えるソダムが、肉弾戦でも思いのほか強いのだ。これに驚く。終盤のペッカン産業を舞台とするクライマックスでは、流石にカーアクションで締めくくるのだろうと予想していたのだが、こゝも、彼女の圧倒的な戦闘能力、生身の暴力の爆発の方が興奮させられる 演出なのだ。

 尚、映画ファンならすぐに『グロリア』とか『レオン』とか他にもあると思うが、想起する映画があるだろう。庇護者(ソダム)と子供は『パラサイト半地下の家族』で絡んだ二人の再共演というのも嬉しい。また、悪徳刑事ギョンピル−ソン・セビョクの、一見普通の会社員風だが、たいそうガッツのある敵役という造型も良いと思う。勿論、こういう娯楽作の常で、都合よく行き過ぎる展開や、端折り過ぎの部分なんかもあるが、ほとんど無視できるレベルだろう。私が残念に感じた点で、こゝに一つ書くとすると、国家情報院の女性係官にも、もう少し見せ場があっても良かったと思った。せっかく、ソダムと対比するように、運転が苦手という登場シーンだったのだから、それを逆手に取ったカーアクションの見せ場があるのではないか、と期待していたのだ。あと、ゲップの反復や応酬はノイジーと思った。

#備忘。猫の名前、ポドン。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。