[コメント] 愛怨峡(1937/日)
東京の居候先は田中春男の家。これが気弱な男を見事に演じ出色の出来だ。冒頭の冷たく突き放した描写も悪くないが、このあたりから溝口らしいねちっこさが出てくる。子どもを里親に出すシーンの工場とその排煙の不気味な様など、画面の背景で感情を操作する。旅芸人の一座に入ってから、土手のようなところから仰角気味に撮った複数人物の歩くカットが何度か試される。もちろんアンゲロプロスとは違うし、どちらかと云うと『残菊物語』のあの奇跡的な夜の道の仰角長回しカット(風鈴屋が出てくる!)に結実するようなカットなのだが、しかし、アンゲロプロスもこれを見ていたのではあるまいか、と思わずにはいられない。
#山路と河津清三郎 の漫才は、古臭いがそれなりによくやっている。
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