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[コメント] 現代人(1952/日)

東京の空撮から始まる。建設省らしき役所。大手町にあったのか。昼休みに、皇居辺りや銀座へ出たりする。山村聰が課長で池部良が部下。出入り業者の多々良純との贈収賄のやりとりが描かれる。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 山村が通うバーのママが山田五十鈴。このバーのフロアには『愛欲の十字路』の英語ポスターが貼ってある。バックルームの廊下から、細い梯子階段があり、その上が山田の住居になっている。また、階段の向こうは、磨りガラスなのか、男女がダンスする影が見える。この多重構造のセットがいい。

 対して、池部の家は、列車の高架下にあり、小さな出版社(扱っているのは赤本)を営んでいる。父親は山路義人、兄は安部徹。兄夫婦やその子等も同居している貧乏所帯だ。池部が部屋で目を覚ました後、音楽が入り(フラッシュフォワードし)、山村の娘・小林トシ子がバレエをするシーンに繋ぐカッティングなんかも、対比が効いている。

 本作は池部良が純然たる主役で、業者との癒着に染まっていくピカレスクもの。池部は小林と付き合うのだが、山村と山田を別れさせるために、山田を抱き、それを平気で小林に告げたりする。山田が、池部に対する執着とそれを断ち切るシーンの演技は圧巻で、こゝが白眉だろう。エンディングまで悪を貫く池部以上に山田が印象に残る、ということ自体、本作があまり上手くいっていない証左かもしれない。山田に加えて多々良が本作でも見事。やっぱり小林がつまらない。

(評価:★3)

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