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[コメント] バタリアン(1985/米)

全体にかなり、かっちり作られている。構図もよく考えられているし、切り返しとアクション繋ぎもばっちり決まっている場面が多い。ただし、電子音楽の劇伴は今では時代を感じさせる。
ゑぎ

 ほとんどケンタッキーのある町の一角だけで進行するミニマルなプロットだが、この場所の造型もアメリカ映画らしいスモールタウンものとして見ることのできる魅力的な設定、描き方なのだ。ユーニーダ医療品商会という看板のある怪しい倉庫を持つ会社。近所には墓地と斎場(火葬場も併設している)。登場人物では、医療品商会の社長役のクルー・ギャラガーが、一応、主役と云えるのだろうが、葬儀場のアーニー−マッドサイエンティストっぽいドン・カルファのキャラ造型が面白いし、大勢出て来る青年たちも良く描き分けられている。

 また、アバンタイトルが、医療品商会のフレディとフランクが謎のタンク(ドラム缶)のフタを開けるまでで、クレジット開けすぐに、このタンクに関する軍の責任者である大佐とその妻の様子が繋がれる、さらに、この大佐が終盤になって再登場する(終盤まで出て来ない)というのも、とてもいい構成だと思う。こういう部分でも、名作の雰囲気が出ていると云えるだろう。他にも、動く切断死体を焼却するシーンにおける、火葬場の煙突からの煙と墓地への降雨の見せ方なんかもセンスがあると感じさせるものだ。

 そして、終盤のカオスの中、フランクが画面から消えてしまってどうしたのだろうと思わせておいて、焼却室に登場させる演出も特筆すべきだと思うし、軍に電話したギャラガーが、電話を切った後の図太いブラックユーモアも見事なものだ。フレディが屋根裏へ入って来るショット挿入の短さもいい。

(評価:★3)

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