コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 薄桜記(1959/日)

過剰なメロドラマ。私は始終くすぐられ面白くて仕方がなかった。ある意味これは喜劇だ。堀部安兵衛(勝新太郎)がアイドルになり町娘達に追いかけられるシーン等もあり確信犯的。また、千春(真城千都世)がからむシーンが悉く可笑しい。傑作でしょう。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 「非現実的」なシーン、例えば千春が雛壇の前で一人芝居をするシーンなんかにしても「おいおい一体なにをやり始めるねん」と一瞬思わせるが、きちんと映画のストーリとして機能させていくところが森一生演出の妙味だろう。墓参の帰り道、典膳(市川雷蔵)から実家へ返されることが告げられた後のくずおれる千春のリアクションを見た際は声を上げて笑ってしまった。

 それでいて、片手を失い脚を鉄砲で撃たれた典膳が横臥したまま、或いはのたうち回りながら太刀合うラストのクライマックスは過剰な映画的造型で瞠目する。真俯瞰での雪が舞降るカットなんて思わず『シェルブールの雨傘』のタイトル・バックを想起したが、これほど見事な真俯瞰カットはそう見られるものではない。加藤泰『明治侠客伝・三代目襲名』のファースト・シーンと並ぶ出来映え。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)ボイス母[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。