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[コメント] 白い足(1949/仏)

タイトルに「白い」とあるからだろうか、モノクロの画面の中で、とても白色を意識させるカットが何度も出て来る。グレミヨンも意識して繰り出しているのだろう。
ゑぎ

 開巻で既に、夜の海辺の道を走って来る軽トラックの、ドアに記された店の名前が白く浮き上がっている。タイトルの「白い足」は、この海辺の町の貴族(城主)ポール・ベルナールが、いつも白いゲートル(スパッツ)を履いているところから来ている。城主が馬車で街中を走り抜けるのを見て、子供達が「白い足だ!」と囃し立てる。他に白いものとしては、山羊、薬草、手袋、ネクタイ、スカーフ等が登場する。

 冒頭の軽トラックには、酒場兼魚屋の主人ジャック(フェルナン・ルドー)と彼の愛人オデット(シュジー・ドレール)が乗っている。彼女には華やかなオーラがあり、登場から画面を明るくする。このドレールが魔性の女で、ルドーのみならず、城主ベルナールと、その弟(異母弟)のモーリス(ミシェル・ブーケ)とも関係を持つ。こゝに酒場の使用人で城主を慕っているミミ(アルレット・トマ)も絡み、複雑な五人の関係が形成される。

 城の中の美術等も見応えがあるが、何と云っても、ルドーとドレールの結婚式のシーケンスは凄いカットがいくつもある。まず、港が見える高台から、新郎新婦たちの行列を撮った俯瞰カット。そして、酒場でのパーティシーンのダンス演出が『曳き船』の同様のシーンを想起させる極上の演出だ。その後の崖上での城主とドレールとの鬼気迫る演出。スカーフを投げるカットが見事で唸る。このあとさらにエピローグがあるのだが、こゝ(崖上の場面)でエンディングの方が良かったのではないかと思う。

(評価:★3)

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