[コメント] 青空娘(1957/日)
美しい色彩と高低を活かした画面。単純だが力強い、明朗なプロット構成。本作こそ初期増村の最高作だろう。
アバンタイトルの女学生3人が海岸で記念撮影する場面に始まり、崖上での若尾文子と菅原謙二のやりとりに繋ぐ冒頭から、なんてチャーミングな演出!若尾が中学生の弟ヒロシと最初にやり合うシーン(腕力を示すシーン)が顕著なのだが、2人の人物の切り返しのカッティングが実に洗練されている。若尾が菅原と川崎敬三のどちらを選ぶか、という興味の帰結に少々悔しい思いをするのだが、いずれのやりとりでも、若尾が目をつむる、目をつむらされる、という演出が何度も繰り返され、映画の感情をフィルムへ定着する上で効果を発揮する。若尾の素直で快活な魅力を最も堪能できるのではないかと思われる映画でもあり、見る幸福に溢れる美しい傑作だ。
#備忘で配役などを。
・アバンタイトルの女学生3人は、若尾以外に藤田佳子と八潮悠子。
・冒頭で亡くなる若尾のお祖母さんは滝花久子。父親は信欣三。継母は沢村貞子。沢村には3人子供がおり、品川隆二、穂高のり子。末っ子は中学生。お手伝いさんは、ミヤコ蝶々。大阪弁の科白は多分彼女が考えたのだろう。
・魚屋の配達人が南都雄二。古今の名言の蘊蓄ギャグを披露。若尾の実母は三宅邦子。後半で若尾が住み込むキャバレーのママが清川玉枝。「了解!」いいキャラ。銀座のシーンで柴田吾郎時代の田宮二郎がワンシーンだけ登場。
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