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[コメント] 彼女は夢で踊る(2019/日)

サラ、岡村いずみが最初に登場するバーのシーン。レディオヘッドの「Creep」に乗り、いきなりダンスをする。その振りもいいが、カッティングが幻惑的だ。この世のものではない感覚が溢れる。犬飼貴丈がいっぺんに恋に落ちることが納得できる。それも人生を変えるほどの恋だ。
ゑぎ

 広島の薬研堀という街の映画。ノスタルジーにどっぷり浸かったプロットが、繰り言のように反復される。劇場の壁のキスマークのイメージ。シーケンスの起点で何度も挿入される劇場の看板。「そんなとこ掃除しても、キレイにならへん、中をやれ、中を」の反復。

 前述の「Creep」の岡村いずみに対して、矢沢ようこは、松山千春の「恋」。酔っぱらった加藤雅也と二人で口ずさむ。酔いつぶれて深夜の街頭に座り込んでしまった加藤に、矢沢が横に来てキスをする場面が実にいい。

 中盤までは、舞台の上の踊り子が、思いの外、胸をさらけ出すカットが少ないので、ちょっと欲求不満に陥りかけていたのだが、終盤では、きっちり披露してくれます(焦らし作戦だったのだ)。ステージ上の矢沢ようこの美しさ。岡村いずみの浜辺でのダンス。あゝ素晴らしい!

(評価:★4)