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[コメント] スチームボーイ(2004/日)

絵に描かれた行ったこともない国がとてつもなくリアルに見える。灰色と茶色の街と勇敢な少年と蒸気のお化けに鳥肌の感動。
きわ

スチーム・ボーイ』の舞台は19世紀ロンドン・イギリス。そのイギリスの人間であるJ・K・ローリングの『ハリー・ポッター』の世界より、日本人大友克洋の描くイギリスに、よっぽどリアリティを感じてしまった。

大友克洋はこの作品を完成させるまで、9年をついやしたという。パンフのコメントによると、そんなに時間をかけたくなかった、とあるが。 その9年間の中で、彼はかならず参考に読んだであろう本がある。その本は「-恐怖の都ロンドン-:スティーブ・ジョーンズ (著),友成 純一(翻訳)ちくま文庫」という。有名なジャック・ザ・リパー事件を始め、18、19世紀の混沌としたロンドンの街の闇を、嫌と言うほど紹介した内容である。従姉から借り、怖いけど見たい、グロいけど離せない、そんな距離で読んだその本。私のたくさんある映画知識の穴をいくつか埋めてくれた。あまりにマニアックな本なので、その内容とかぶる点を、私は見つけてしまった。そしてこの本に紹介されている、古のロンドンで起きた悲劇を知ると、このスチーム・ボーイの冒頭、そして冒頭のスカーレット・オハラ嬢のセリフがぞっとしてたまらない。もし気になられた方は、ぜひご購入ください。(または一見してください)Amazonで買えます。価格¥987(税込)

全編を通してみられる、『天空の城ラピュタ』や『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』、はては『魔女の宅急便』までの宮崎駿作品へのオマージュ。これを「パクリ」だというのは、あまりにも野暮である。 宮崎は日本映画界の財産だが、彼を失ったあとその穴を埋めるのは、大友しかいないだろう。 (04/9/3 劇場)

(評価:★5)

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