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[コメント] ボーダータウン 報道されない殺人者(2006/米)

どす黒い雲みたいな、得体の知れない何か、に覆われていくような不気味さがあり、それが最後まで晴れることはなかった。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







題材となった、多数の女性がレイプ殺人の被害にさらされているという現状、問題の基本的な解決が図られていないから、というのはあるのだろうが、なんともすっきりしない映画になっている。

NAFTAによって巨大な恩恵を受けた大企業、富裕層が、労働力として集められた女性工員の運命に何の関心も払わず、レイプされようが少しくらい殺されようがなんとも思わない、というのはありそうな話なのだが、なぜ現地警察があそこまで悪者扱いされるのかが今ひとつわからんし、地元新聞社がああまで迫害されているのかもよくわからない。

裏に色々あるのかなあと想像はできるのだが、この映画はその背景についてホンのさわりしか示さない。何故、ジェニファー・ロペスの記事が握りつぶされたのか、そこまで上院議員までが反応してくるのはどうしてなのかがわからないし、伝わってこない。

だから映画全体に説得力が足りないように思え、その辺が心に響いてこないし、むしろそういうことよりもジェニファー・ロペスの立ち姿の何とも言えない色っぽさの方が妙に心に残ってしまって、いささか申し訳ないような気になってしまう。

だが、いまだ基本的な解決に手が付けられていないのであろうし、それだけに深刻で困難な現実の問題に立ち向かった映画人たちの心意気はやっぱり頼もしく思えるし、そこを評価して☆一つ加えて4点としたい。

(評価:★4)

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