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[コメント] 蝿の王(1990/米)

よくできた作品だとは思う。しかし、こういう映画をつくることに、果たして意味はあるのだろうか。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ある意味、極限状態に置かれた人間集団において、それが子どもたちだけであろうと、大人たちだけであろうと、混在した集団であろうと、その中で狂気が芽生え、集団が暴力的に崩壊していく。このようなことは、現実社会にもあるし、またこういうテーマを扱った、映画や小説なんかはけっこう多いだろう。

この映画でも、絶海の孤島で通常の社会から完全に隔離された(と子どもたちが思い込んでいるだけだが)状態になって、不安とその裏返しであるかのような解放感、それらが原始的な退行と狂気となって噴き出してくる。

その結果、目を覆いたくなるような殺人。しかし、すでに少年たちにとっては「殺人」という概念すらなくなり、気にくわないものはやっつける、という感覚でしかなくなってくる。

私は人間にこういう狂気があるかもしれない、ということは否定しない。極限状態に置かれたときに、狂気にしたがうことがあることも否定しない。

しかし、そういう状態のみを、わざわざ映画に仕上げることに、どういう意味があるのだろうか。

余談だが、のちに『バトル・ロワイアル』を観たあと、私はすぐにこの作品のことを思い出した。

(評価:★2)

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