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[コメント] 陰陽師(2001/日)

特撮や撮影、展開にやや難はあるものの、本作の世界観を体現した真田広之の存在感と野村萬斎の大健闘で雰囲気を出し、いいところまでいきかけたせっかくの映画を、台無しにしたのが伊藤英明の下手くそぶり。台詞も表情もそのすべてがダメでいない方がよい。
シーチキン

個々の登場人物の設定とか物語の展開にわかりづらいところや、ご都合的なところもがあることはある。特撮は物足りないものがあることはあるが、まあよくできているといえると思う。夜の芝居のシーンで柱の影が複数方向へできてしまっているなど、照明の雑な失敗もあるが、まあ、そういうことにいちいち目くじらをたてても仕方ない。

共演者たちはピンからキリまであって、これはちょっとどうかなというのがいたが幸い出番が少ないからそう気にならない。

そういう中で、いかにも平安時代の陰陽師らしい風格を一身に体現した真田広之はまさに別格の貫禄で、彼がいたからこそこの映画の世界は構築できたといっても言いすぎではないと思う。

そして野村萬斎も普通の芝居では「ありゃりゃ」というところがあるにはあったが、平安貴族風の衣装をまとっての身のこなしはさすがさすがというものがあるし、呪文をとなえる仕草などはなかなか堂に入っており、いかにも陰陽師に見えるから大したものだと思う。

ところがそういう積み重ね、努力をたった一人でぶち壊していったのが伊藤英明。ともかくひどい。彼がしゃべるたびにその棒読み台詞で、せっかくの平安「世界」をぶち壊し、いくら衣装をそろえていてもまるで学芸会並みの臭い芝居で見ているこちらが恥ずかしくなる。それがあまりに累積された終盤にいたっては、「つまらん映画を見ているなあ」と自己嫌悪になりそうになる。

一本の映画で、たった一人で何もかもぶち壊し、これほどいない方がよいと思える役者を見たのははじめて。なんだってこんな役者を使ったのか、よっぽどか大人の事情でもあったのかと情けない気持ちにさせられた。彼さえいなければ、もっとよい感じになっていただろう。

(評価:★3)

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