コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ほたるの星(2003/日)

致命的な欠点がある。何故監督はこの点に気付かないのだろうか。
ダリア

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







それは「蛍の飼育に、三輪のクラスの児童しか参加していない」ということ。

確かに、クラス単位ならまとめ易いだろう。蛍の飼育をきっかけにクラスは一丸となり、課外授業以外でもあらゆる面で(例えば体育の30人31脚を走りきれるまでに)団結する。

だが、他のクラス、他の学年の子供達は?

3年1組が楽しそうに蛍の飼育に燃えているのを、遠目で見るしかないのではないか。

6年生の男子が蛍の幼虫に悪戯をした。彼らの心の内は「蛍なんてばかばかしい」と冷めている以上に、楽しそうに飼育を行っている3年生をやっかむ気持ちがあっただろう。また、3年1組の児童の中には他の学年に兄弟がいる子も当然いるはず。彼らは「お姉ちゃん(もしくは弟・妹)は張り切って川にエサを取りに行き、観察日記をつけて・・・楽しそうだなあ」と指をくわえて見ているしかないのか。極め付けに、職員会議が終わった後、三輪先生を追いかけて来た教師の言葉。「ウチのクラスの不登校の児童も、蛍に興味があって・・・」

それらの児童を、何故仲間に加えてあげないのか。

例えば夏休み、クラス全員で川の掃除をするが、そろそろこの辺で他の学年・他のクラスの子供を混ぜてもいいのではないだろうか。

つまり、「クラスで蛍の飼育をしました」という設定を、校内の有志を集めた仲間、クラブ活動のような形にすれば良かったのではないか。もしくはどうせ田舎の小学校という舞台ならば、全校児童が数十人という小さな小学校にして、学校全体の取り組みにすれば良かったのでは。三輪一人孤立したように頑張らなくても、他の先生も協力し合って川に入り、上級生も下級生も蛍の成長を喜ぶシーンが見たかった。

監督は、周りの者を仲間外れにしていることに気付かなかったのだろうか。

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。