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[コメント] 都会のアリス(1974/独)

ラストの開放感、あのシーンにめぐり合えただけでも僕は幸せです。
れーじ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







はじめに謝っておきます。すいませんごめんなさい。やっぱりアリスに萌えました。見終わった瞬間「アニメ化希望!」とか考えてしまったのも事のついでに告白しておきます。

もうね、「アリス萌えー」とかね、「アリス可愛いよアリス」とかね、どんだけ俺の頭は腐っておるのかと。そんなもんどうでもいいくらいに素晴らしいものがこの映画にはあるっちゅうのに。

主人公のフィリップ31歳は今で言うところの中二病で、ええ歳こいて大人になりきれずモラトリアム近辺をしつこくうろちょろする駄目人間。

頑なに心を閉ざし他者を拒絶する彼の心は、しかし少女アリスの奔放で身勝手な言動によって揺さぶられ、そのことにストレスなんかも感じつつ、しかし二人の旅は警官の言葉で唐突なラストを迎える。

この揺り返しが、なんとも堪らない。

人間は一人では生きていけない。

でも、一人じゃ何にも出来ない人間でも、二人が出会えば何とかじたばた足掻くことぐらいは出来るだろう。

三人も寄ってくれば、誰かの何気ない一言で、ぱっと新しい道が開けるかも知れない。

自分以外の誰かと共にあるという事、孤独からの開放を、しっとりと、前向きに、美しくこの映画は描いている。

だからこそあのラスト、「物語を書くよ」と言いながらフィリップが見せたあの笑顔に、僕はこの上ないカタルシスを感じた。

「映画が終わった後」を匂わせる、アリスの窓を開け外を眺めるあの描写もまた最高。

そして二人は別々の道を歩き出す。しっかりとその二本の足で土を踏みしめながら。

(評価:★5)

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