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[コメント] 荒馬と女(1961/米)

原題の「misfit」は、不適合者、不釣り合い、はみ出し者、ピッタリしない、といった意味。マリリン・モンロー演じる女と、時代遅れのカウボーイたちの不釣り合いな関係が織り成す話の構成は面白い。だが彼女が世間知らずなバカ女以上ではないのが痛い。
煽尼采

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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世間知らずなバカ女として造形されたキャラクターであろうと、何らかの形でその個性が輝く瞬間があればいい。だがモンローは、前半は殆どの台詞を溜め息交じりに吐く様子にやる気の無さを感じてしまい、アンニュイさを表現しているなどと言うには演技が平板にすぎる印象を受ける。徐々にヒステリックな鬱陶しさを加えていく辺りは、脚本の流れに沿っての事だろうから別にいいのだが、それなりに自由と誇りを守ってきた男の人生観を変えさせる触媒としての説得力は弱い。

クラーク・ゲーブルが子どもたちに置いてきぼりにされて泣き叫んで倒れたのを抱き寄せるモンローが片乳をポロリさせている場面は、この二人の登場人物の関係性が端的に表れているようで情けない。ゲーブルは、モンローらによって解放された野生馬を「他人に決められたくなかった」が為に一度自分で捕まえてから解放したのはいいとして、その後モンローの存在をも拒む所までいっていないのが半端。結局、男一匹大自然を相手に闘うのに疲れたので、白痴的な巨乳娘の許に走ろうとしたという印象を受けてしまう。

馬狩りの場面は、単なるアクションではなくその暴力性と悲劇性をも感じさせる、なかなかの良シークェンスとなり得ているが(タイヤの使い方も面白い)、それ以外はちょっと緩い。ゲーブルのキャラクター性が結果的にはモンローと同じくらい緩いのが痛い。

(評価:★2)

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