昔から、原作を読んだものの映画を見られないたちだった。世界観が失われるように思うから？キャラクターへの思い入れが強いから？いずれにせよ、自分の中にできた作品の空気を崩したく、崩されたくないのかもしれない。そんな中、原作を読んでから見たいと、久しぶりに思った作品がこれだった。

暴力、破壊、狂気、そして血。冷たくて容赦のない、血みどろの世界。なのに、見終わってこんなに温かい気持ちになるのはどうしてだろう。もう一度、続けて見たくてなかなか席が立てなかった。

それは、これが「愛」の物語だからだと思う。ネズミが語る、木村が気付く。クロが内に秘め、シロが表現し続けるもの。愛は人を動かし、永遠を創る。カッコ悪いから誰も口にしないけど、そういうもの。だから大切な人には伝え、自分の血を継ぐものには残したい、そういうもの。

絶対買います、DVD。迷ったときに戻る場所にするために。歳をとったとき、大切な人たちに心から「ありがとう」と言って死ねるように。　でもまずは、劇場の大きなスクリーンで、是非。