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[コメント] 赤穂浪士(1961/日)

下駄を預けて共犯関係に巻き込む思考様式において、千恵蔵の内蔵助がオリジナリティを発揮する。東下りや畳職人の中村嘉葎雄にあえて身バレして、決断の負担を相手に側に放りプレッシャーを与える。
disjunctive

大河内傳次郎の左近とあるいは嘉葎雄ですら安易な選択に走ってるのだが、生き様という美学の問題にすり替えられる。さすがに市川右太衛門の兵部はこの構図に意識的であり、だからこそ千恵蔵の術中にはまりプレッシャーに襲われる。共犯関係の網の目は嘉葎雄で話のオチをつけるように個人をよく集団劇に包摂しダイジェスト感を薄める。しかし、察しを強請する思考原理は無意識に吉良をあてこする大川橋蔵の内匠頭の破壊力を際立たせ、いつもの体とはいえ、受け手を吉良の嗜虐心と同期させる羽目になる。

(評価:★4)

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