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[コメント] 十九歳の地図(1979/日)

理由のない苛立ちを映像として描写する。しかも観客が分かる。
夢ギドラ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







吉岡(本間優二)の暗さや衝動性を培った環境がよく分からない。吉岡の将来的な方向もよく分からない。これが、ただ一瞬を切り取った感を印象付けている。

地図を描いて、×が何個つくかを勝手に審判してるわけだから、彼のキャラクターは、ヘタをしたら万能の神視点で誇大妄想の人なのかと疑いを持つ。でも、この、地図の描き方や小さく神経質で角ばった字を観ていると、彼は単に苛立っているとわかる。かなりヘンな行動なのだが、ヘンなりの理由が、映像からにじんでくる。

十九歳に同じような経験をした人は、すぐにわかるかもしれないけれど、私の十九歳なんかは進学のために実家をやっと出れて、それだけで解放されて幸福になっていたので、こういった苛立ちの経験がない。それでも、これはごく普通の人のありふれた成長過程なのだと思わせた。

(評価:★4)

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