それにしてもすごいプロットで、何しろ『走れメロス』で言えばメロスたるニコラス・ケイジとセリヌンティウスたる弟が一緒になって走ってるんだから太宰もびっくりです。もう人質いねーじゃん。趣味かよ。序盤の『七人の侍』ごっこも貧弱の極み。

　といいつつ、基本的にはスーパーカー眺めてるだけで幸せな人間の弱みか。ポール・キャメロンがなかなか好い色で撮ってくれてたので、もうそれだけでいいんです。カーチェイスはゆるゆるでアップショットばっかりなので状況がよくわからないし、何よりスーパーカーは町中を全開で疾走するどころか2000rpmくらいしか回してないんじゃないかってくらい安全運転だし、実際の追いかけっこは中古車ばかりで、運転超うまいはずのニコラス・ケイジがバックしながらドアミラーぶつけたりと、もう明らかに車好きの作った映画ではないのだけれど、それもまあいいや。

　とことんキュートなアンジェリーナ・ジョリーに「+1」、あと空飛ぶ巨大ガスボンベの挙動にわりとドキドキしたので「+1」。こういう“心臓に悪くない”映画、嫌いじゃないなぁ。