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[コメント] イン・ザ・ヒーロー(2014/日)

一応頑張ったアクションに免じて2。着眼点は良かったが脚本がグダグダであるため感情移入がしづらい。
Master

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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まぁ、アクションも頑張っているとは思うが、谷垣健治渾身の『るろうに剣心』を同時期にぶつけられちゃ立つ瀬もないと言わざるを得ず、かなり厳しい状態であることも明言しておく。

終始気になるのはどうでもいいエピソードが多すぎるという点。ハリウッド監督とやらの描写、本城(唐沢寿明)の娘、一之瀬(福士蒼汰)の幼い弟妹、元村(和久井映美)と西尾(及川光博)のレストランのシーン、全部カットしても全く問題なく話は成立させられる。こういう不要な設定、シーンを積み重ねて2時間越えされてもそれは観客に対してフラストレーションを溜めさせる効果しか生まない。

あと「No CG! No Wire!」と盛んに言ってた割には、最後のアクションシーンでワイヤーを使っているのは全く不誠実である。ここの責任者は武正晴なのか水野敬也なのか記録のスタッフなのか判断しかねるが、言わせたことはちゃんと守らせろという話である。

また、このような台詞に関する不誠実さは主役ともいえる本城と一之瀬にも及んでいる。

一之瀬は自分の夢について「アクションスターになってアメリカのアカデミー賞を取る」と語るが、アクションをメインにやっている俳優にとってアカデミー賞というのは基本的に無縁の賞である事はちょっと調べればわかると思われる。この台詞をボケとして昇華させるのならばまだしも大真面目に語らせるのは一之瀬の立ち位置が不明確になるだけでありかつ、観客を舐めている。

本城は「自分の顔と名前を映画に出したい」というような夢を語るが、なぜそのシーンが本作中に存在しないのか。ラストは病院で寝てるシーンではなく、家族で映画館で鑑賞しているか、娘が一人で泣きながらエンドロールを見ているかどちらかだろう。もしくは松方弘樹に斬られて飛んだ瞬間にブラックアウトか。(こんなことやったら安い『レスラー』パクリという非難は免れないだろうが)

このように無案内なタクシーの運転手に適当に引き回されて目的地と違うところに着いた揚句代金を請求されるレベルの理不尽で不誠実な作品である。

それでも厳しいのは前提だが、アクションはがんばっていると思うのでそこに免じて2とする。とりあえず水野敬也にはまた脚本を書くなら『ヒーローショー』、『レスラー』、『ライムライト』をそれぞれ20回ぐらい鑑賞して、本作に関する改善点をまとめた後に取り掛かることをお勧めする。

(2014.9.19 シネプラザサントムーン)

(評価:★2)

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