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[コメント] テキサス・チェーンソー ビギニング(2006/米)

ゴアシーンが陰惨すぎるきらいがあるものの、全編を通じて絵作りはかなり気合が入っている。そしてR・リー・アーメイのための映画。 (『テキサス・チェーンソー』のネタバレもあり)
MSRkb

**ネタバレ注意**
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 『テキサス・チェーンソー』の前日譚……なんだが、これはちょっとおかしくないだろうか? 前作の最後、わざわざ現場検証フィルムまで入れて「レザーフェイスはその後行方不明」ってことをアピールしてたんだから、普通は二作目では「レザーフェイスのその後」を描くお話になるのがスジってもんだ。前日譚的な展開は、それこそシリーズ三作目や四作目、そろそろマンネリ化してきたからいっちょ巻き戻して心機一転、てなときにやるもんじゃないかな?

 で、なんで二作目で早々に前日譚になったかといえば、それはやっぱり前作においてレザーフェイスよりもR・リー・アーメイのキャラクター(というかいつもの鬼軍曹っぷりのほとんどセルフパロディ)がキャッチーすぎたからだろう。人気もあったはずだ。だが前作の最後でリー・アーメイは死んでいる。「その後」を描いた続編ではさすがに登場させられない(実は死んでませんでした! とか、双子の弟が軍をクビになって帰ってきました! とかいけしゃあしゃあとやれるくらいのクソ度胸が欲しかったところではあるが)。よし、じゃあビギニングで行こうぜ! となったんではなかろうか。小生愚考する次第です。

 いやでも実際、リー・アーメイありきのシナリオになってる。なんせ今回の犠牲者のうち主人公グループの兄弟は、ベトナム戦争の召集令状がきて入隊するか兵役拒否するか葛藤してるっていう設定なんだから。で、入隊手続きをしに行く旅の途中でリー・アーメイにとっつかまってしまい、軍に入るまでもなく地獄のしごきを受けるハメになる。「貴様らがどれほどの戦士か見てやる! 腕立てだ!」とか罵倒されながら。兄弟はちゃんと「サー」を付けて答えるし。いやちょっとやりすぎなんじゃないかってくらいだ。

 そんなわけでレザーフェイス出生の秘密とか明かされてるんだけどまったく影が薄い。でもそのかわりと言っちゃあなんだが、ゴアシーンはかなり陰惨に、執拗に描いている。リー・アーメイの地獄しごきと前後の脈絡がない唐突バイオレンスはある意味楽しく見てられるが、レザーフェイスのほうのゴアシーンは気が滅入ることおびただしい。

 ゴアシーンの陰惨さにも通じることだが、全編を通して絵作りにはかなり気合が入っている。オリジナル版『悪魔のいけにえ』にあった“ピーカンの昼間なのに物凄く不穏で禍々しい”あの絵作り、雰囲気をうまく引き継いでいるのは、前作よりも本作だろう。

 あとはジョーダナ・ブリュースター がたいへんかわいくきれいでエロっぽかったので、個人的にはあと0.5点加えたい。『パラサイト』のあの子もきれいに成長したもんだ!

(評価:★3)

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