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[コメント] グエムル 漢江の怪物(2006/韓国)

じゃぱん怪獣映画の系統とは全く異なる位置に分類される作品だが、初代『ゴジラ』のエキスを受け継いでいるのはむしろ本作なのかもしれない。
パグのしっぽ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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あくまで人間の目線に徹するカメラワーク、そして社会へのメッセージを強調する演出は初代『ゴジラ』に非常に近いと感じる。「もし」の話をするのはくだらないが、もし円谷英二の時代にCG技術をあったなら、ゴジラはのっそりずんぐりの人型ではなく、グエムルのようなよりスピーディな怪物然とした姿にデザインされていたのかもしれない、などと夢想してしまう。

「社会に現れた怪獣」を人間の視点から描いた点では非常に面白かったのだが、不満を言うとその「社会」の描き方にいまひとつ物足りない、他のコメンテータの方が書いているようにノリ切れない部分がある。葬式での騒動やじいちゃんの最期、デモに対する視線など、批判しているのかそれとも単なるギャグなのか判断がつかず、戸惑う場面が多くあった。もし「茶化して嘲笑うことで批判しよう」というスタンスなら、それはポン・ジュノのやるべきことではないし、そもそも向いていない。かつて『殺人の追憶』で一時代の韓国社会の臭いを嗅がされた経験があっただけに、本作でもそのような濃厚な現代韓国の臭いを味わえるかと期待していたのだが、その点では少し物足りなかったのである。それとも、本当に現代の韓国って本作のように軽くて薄っぺらな社会なのだろうか?そんなことはないと思いたい。

(評価:★3)

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