コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 裸足の1500マイル(2002/豪)

この物語を九四分間に収めようとする心意気は買うけれども、フィリップ・ノイスの演出はどうにも精彩を欠くと云わざるをえない。限られた時間と画面の面積でいかにして「長さ」を表現するかという問題を克服していない。
3819695

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







少女たちが居留地から逃げ出して故郷に辿り着くまでにかかる時間は確かに「九週間」なのかもしれないが、私たち観客からすればたかだか「数十分間」に過ぎない。私たちと作中人物(物語)の間に横たわるこの絶望的な溝を埋める演出が残念ながら欠けているので、少女たちの熱演は心を打つものであるにもかかわらず、それが距離や時間の「長さ」の表現として画面に結実していない。また、母親との再会という決定的瞬間をスローモーションで処理したことも疑問。これは「ドラマの捏造」ですらなく、むしろ「ドラマの隠蔽」ではないか。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。