[コメント] 美しい人(2005/米)
もちろん形式の統一およびテーマの一貫・連関の捏造が図られてはいるが、長篇化に至らなかった物語の断片を九つ寄せ集めただけに見える。乱暴な云い方をすれば、これは「映画」というより「文学」だ。驚きがない。連続性を担保された時空間が驚きを生産する場として機能することを目指していない。
(もっとも、実を云えば私は文学に最も必要なのも驚きだと思っているのだけれども、それについてはとりあえず措きます)
このワンシーン・ワンカットは積極的な理由から採用されたものではない。九つの短篇をひとつの長篇映画として扱うこと、その妥当性を形式面から補強するためのエクスキューズだ。刑務所やスーパーマーケットなどの空間が「迷路」のように提示されるさまは面白く、そうした趣向の徹底がほしい。
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