[コメント] 生活の設計(1933/米)
もちろん高品質だ。とりわけ美術がよい。ドイツでキャリアを出発させ、のちにハリウッドへ渡ったらしいハンス・ドライヤーという美術監督は渡米後もヨーロッパ系監督との仕事が多かったようで、ここでも画面にヨーロッパ感覚がよく出ている。ボロアパルトマンの造型。高級アパルトマンの窓越しに広がる眺め。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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しかし野蛮な観客である私にはこれはちょっと上品すぎる映画で、少々物足りなさを覚えることも否定できない。だから三人が守るべき関係性について「紳士協定」とだけ云っておけば済む(その意味するところを観客もじゅうぶんに理解できる)ところを、ミリアム・ホプキンスがはっきり“No sex”と口にしてしまうところなんていうのは却って驚いた。
そうは云っても、サイレント的なオープニングやホプキンスがふと漏らした英語がきっかけで三人とも「巴里のアメリカ人」であることが明らかになるあたりの呼吸、あるいはゲイリー・クーパーとフレデリック・マーチが警察に成りすます小芝居であるとか、粋な楽しさには事欠かない。また、エドワード・エヴァレット・ホートンが「ホプキンスと付き合うのはやめてほしい」とマーチに告げるシーンに続いてホプキンスとクーパーがいちゃつくシーンがやってくる、などのシーン転換の仕方の妙。これを頭でっかちとか厭らしいとか感じさせないところが洗練というものなのだろう。
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