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[コメント] バケモノの子(2015/日)

熊徹と少年期の九太の声を演じているのがそれぞれ役所広司宮崎あおいであると聞けば、次のごとき配役変更を夢想するのはごく自然の成行きだろう。すなわち、リリー・フランキー光石研大泉洋斉藤陽一郎宮野真守宮崎将。云うまでもなく、ここで企まれているのは『EUREKA』の変奏である。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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青年九太がバケモノ界と人間界を思いのほか随意に往来できてしまうのには拍子抜けする。異なる世界への「帰郷」を描こうとする創作物語の定石として、その「越境」には、切実な希求/悲痛な決断/技術的な困難/類まれな偶然などを要する「条件」が伴ってほしい。

また、バケモノどものキャラクタ・デザインについても一言しておきたい。彼らは軒並み直立二足歩行が可能なホモ・サピエンス型の四肢と胴を持ち、全身は深い体毛に覆われ、獣の頭部(ただし一定の人面化を被っている)が据えつけられている。要するに「半人半獣」のデザインにヴァリエーションが乏しく、これが作品全体につきまとう窮屈の印象を強める運びとなる。これを「コンセプチュアルな統一が図られたデザインである」と好意を持って受け入れることはむろん許されるはずだが、しかし各地の宗師はその限りではないようだ(だから宗師は特別なのだ、という理屈なのだろうが)。ここでも我々が学ぶべきは水木しげる先生であり、鳥山明先生である。

(評価:★4)

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