[コメント] 戦火の勇気(1996/米)
欠点も多いのだが、見落としがちの秀作を積極的に評価したい。このくらい悲哀をもって戦争が語られるなら、傲慢なアメリカという巨人の失意も感じ取れるというもの。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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タイトルが尊大すぎるのはまずい。演出的にうまいとも思えない。絵はいたって普通。後半の少女の涙とデンゼル・ワシントンの敬礼は不自然なので無いほうがよかった。
欠点も多いのだが、こと脚本についていえば傑出している。それなりにリアルな虚偽のストーリーが描かれたあとに真の物語が語られたときのカタルシスは強烈。芥川の「藪の中」に似ているが、真偽がはっきりとしている点では異なる。サスペンス性のある構成に、湾岸戦争という世界規模の史実の持つ重みが付加されている点が重要なのだろう。重厚な楽曲を流すタイミングもうまかった。
そしてメグ・ライアン。軍人としてはあまりに脆弱な肉体、そして面構え。しかし物語上ではそれがかえってうまく機能している。部下の謝罪に対し、「これで終わりじゃない」と嫌味たっぷりの表情で言い放つ性悪女。だが、それがいい。単にいい人、立派な人、でないのがいいのだ。
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