“ファッティ”アーバックルによる“デブもの”というキャラ立ちのするコントを確立したことは、後のコメディ路線のパイオニアとして意義のある作品であると思う。しかし、現在から遡ってみれば、アーバックルによる新人女優の圧殺事件という黒いイメージがあまりにも重いために、その演技についても繊細さが少々足りないと思わせる大ぶりな存在感ではある。その点、拳闘シーンで見られるレフェリー・チャップリンによるロープを使ってのパントマイム芸は、チャップリン黄金期につながる試金石としての光明が垣間見ることができてうれしくなる一作でもある。しかし、誰の発案であろうか、アーバックルがグローブをしたまま拳銃を握って発砲しまくるという件は、馬鹿馬鹿しくファンタスティックであり笑える。この作品のハイライトといえよう。