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[コメント] キートンの化物屋敷(1921/米)

ギャグアイデアの瞬発力に弱く構成のまとめが下手なBADサイレントコメディ
junojuna

 好況を呈する当時のウォール街というトレンドな舞台設定で幕を開けるが、はじめに設定ありきでアイデアを思案したところ、銀行窓口という設定のスケールに限界があったか、くどくどと長い接着紙幣の件はさほどの才気を感じさせず退屈なシーン描写であった。バスターのだめっぷりを表現したかったのであろうが、銀行員という設定ではキャラそのものをあまり馬鹿にできず、ナンセンスなコミック空間の提示には至らなかった。そこからもう一枚強引な件、ジョー・ロバーツ演ずる悪徳造幣師の化物屋敷へと移行する飛躍ぶりも、イントロと本編の配分が拙くまとまりの悪さを露見していびつな印象であった。さらにはそこに一枚、ダメ劇団のシーンが挿入され、ストーリーの視点はあくまでワンウエイであるためにごちゃごちゃととっ散らかった印象は倍増となり、せっかくラストの大オチも晦渋に満ちた仕上がりとなるのである。ここに来てキートンに気負いがあったか、その勢いをもって大局的な視点を失ってしまった残念な作品である。ちなみにハンマーはチャップリンの武器となるデカイ方が面白い。

(評価:★2)

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