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[コメント] 恋人よ帰れ!わが胸に(1966/米)

ワイルダーの話術の巧さ、小道具の扱いのセンスが抜群の粋でGOODなコメディ
junojuna

ジャック・レモンとウォルター・マッソーの演技合戦が見られる楽しさ。人情の機微を配するストーリーテリングの巧さ。ベタな手法に陥らないコメディシークェンスなど。そのすべてが小気味よい構成の中に良く落とし込まれ、映画話術の巧さにノックアウトされる傑作である。前半の展開は少々ゆるやかでおとなしめの印象であるが、中盤から後半にかけての展開は、ドキドキ感を程よく配し、画面に引き付けるテクニックは実にエンターテイメントしている。ジャック・レモンがあの喜劇的な顔でせつない表情を忍ばせる時、途端に物語世界はブルー一色に染まる。この物語では、妻に三下り半を突き付けられたダメ亭主という配役も手伝って、アパートの窓から車でやってくる妻の来訪を今か今かと待ち侘びて見下ろしているその背中は、哀愁の極みをさらりと体現してせつなさが募るカットであった。ロン・リッチ演じるアメフト選手ブーン・ブーンが、酒によってバーの客を殴ってしまった。彼は逮捕されてしまうのだが、そのニュースをTVで知るジャック・レモンの表情が曇るカット。実に印象に残る“映画の顔”である。この映画を振り返って思うことは、近年の映画で女を痛めつけるシーンがあまりに少ないこと。もっと悪い女を痛めつける映画を期待したい。笑えて泣かせる映画の代表格。

(評価:★4)

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