[コメント] 飲酒のなせるもの(1909/米)
メロドラマ作家が陥る不謹慎な死の描き方と強引な手管にBAD
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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単なるアル中の話といえばそれまでだが、居酒屋での乱闘の末、何の罪もない愛娘が流れ弾に当たって死んでしまうという、その表現の提出があまりに唐突に過ぎて強引であるために、不慮の死を描くドラマという以前の、倫理観を疑いたくなるような印象だけが残って呆然とする。この物語が、そうした突発的な死の脅威かもしくは暴力の残酷性を中心に置かれているのであれば、表現の先鋭化としてグリフィスの着想を読み取ろうとすることは可能だろうが、本作はタイトルが示すとおり、アルコールの病への警告を主題とした作品としてかなく、前半から読み取ろうにも男がアルコールに溺れていく理由、もしくは蝕まれる妥当性が皆無なので、ラストシーンで娘を失った焦燥にうなだれる家族のカットで終わるところは、あまりに適当な作劇として噴飯ものである。確かにこの時代に描くには早すぎるドラマ性を孕んだテーマであろうが、グリフィスの以降の作品群を思うにつけ、自らの芸術観を満足させるためには倫理を厭わないという一面が吐露されてしまっているのではないかと思わせて不穏な一作である。
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