このサイレント期に驚きの戦争アクション巨編。ウェルマンの、映画を芸術たらしめようとする旺盛なクリエイティヴィティが入魂された歴史的一品である。そのあまり戦争アクションシーンが長すぎる向きがあり、仮にメッセージというものがあるとすれば好戦なのか厭戦なのかが判別しにくい豪華さであったと皮肉をこぼしたくなる。不味い点は、戦争に赴き自身の死を前にしてその恐怖心から自棄を起こす素振りを見せながらも、敵陣に死を与えることについての自問は皆無ということだ。少なからずこの映画が製作・公開される状況下は戦時中ともいえた時代性を思えばやむなしか。それでも酒場での乱痴気騒ぎシーンのバブルが沸き立つファンタジーな映像処理に一興あり、ジャックがデヴィッドを狙撃してしまうという運命的なプロットにドラマが利き、クララ・ボウのミリタリー・ルックはムービーファッション史に一幕を与えた。第一回アカデミー作品賞受賞。むべなるかな。