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[コメント] フリークスも人間も(1998/露)

物語ではなくただ映画的イマージュのバロック的美しさに驚嘆するGOODカルトムービー
junojuna

 全編セピアにしてレトロな様式美をことさらに強調する作風が、この映画を物語としては解読させない強度をもってうったえてくる。しかし、セピアの暖色に支配された画面からは、ロシアの寒々とした空気までもが伝わってくる。鉄道技師の愛娘であるリーザの硬直した表情、陶酔的な旋律をもつ歌曲を仕込まれて商品として買われるシャム双生児の思春期など、危うい魅力を湛えた登場人物が切なくも画面の中にたたずむ。本作の魅力は、この天然の美ともいえるキャラクターに映画が様式として応える美術的側面に立ち現われる。奇才アレクセイ・バラバノフの冷徹にして人間味あふれる観察力に映画の力を見せつけられる。

(評価:★4)

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