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[コメント] ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022/米)

ギレルモ・デル・トロ監督がストップモーションアニメを撮ってくれたということだけでありがたい。自分が受け取ったのは、社会風刺としてではなく、一人の親としての向き合い方。
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今年度のゴールデングローブ賞でアニメ賞を受賞した本作。ストップモーションで撮られたということだけでも興味をそそられるのに、それを手掛けるのがギレルモ・デル・トロ監督ときたら注目しないではいられませんね。 デルトロ監督と言えばダークなファンタジー作品を数々世に送り出している名匠ですし、世界観だけでも十分楽しめる作品です。実際ストップモーションの独特な味の中で表現され、ダークな世界観の表現が少しマイルドにはなっていますが、らしさ全開の雰囲気を味わえるのが何よりの魅力ですかね。

また、本作の舞台が戦時中のイタリアが舞台ということで、社会風刺的な描写は多いみたいですね。そもそも操り人形のピノキオ自体が象徴的ではありますし、アニメながらメッセージ性のしっかりこもった作品に仕上がっているのでしょうね。

ただ、個人的に不勉強ながらイタリアの歴史に関しては疎く、それぞれが何のメタファーであるかはわかりません。しかし、ゼペットとピノキオの関係には子と親の普遍的なテーマが読み取れますし。やはり亡くなったラウロとピノキオを重ねてしまうゼペットは、気持ちはわかるけどそれはやっても何も生まなくて、「重荷」であるという子どもを苦しめるような言葉を投げ放ってしまう。 大切なのはその子自身の個性であり、たとえそれが自由奔放でわがままで、ラウロと違って手がかかったとしても、受け入れてあげる心が大切なのだと痛感させられます。 だって子どもだって親が大好きな思いに代わりはなくて、純粋無垢な心で親の幸せを願うのですから。

社会背景も踏まえたらより深みが出るのだろうなとは思いつつ、今現在の時点では親子の話としてしか受け取れませんが、それでも二人の子の親として「上の子がこうだったから下の子も…」とかではなく、その子自身の個性を受け入れてあげられる親でありたいと思いました。

(評価:★4)

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