[コメント] 夜明け前(1953/日)
革命をその最も純粋な処で信頼した純粋な男の悲劇。なんてありがちな、なんて厭な物語だろう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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平田神学についての抉った描写は欠けている。おそらくそんなこと短時間ではできないから積極的に省いたのだろう。しかしここが肝心の処だから、原作に当たるしかなく、ただ周辺描写をできる範囲で綿密に積み重ねている。
冒頭の4日続く婚礼で歌われる木曽節が終盤に遠くから聞こえる詠嘆に篭めるものを篭めている。屋根の猫のサカリを見ての乙羽信子の乱心は印象深く、「よく書けた」と小夜福子に何も書いてない半紙を示す滝沢修も恐ろしい。ただ純真で凡庸で何もできなかった男。この虚しさは我々のものだという気がしてならない。
キャメラは木曽を離れず、例えば直訴の件など見せてほしかったものだが、これを描けば他も種々描かざるを得ず、予算の関係で此処に限定されたのだろう。前半のリアリティを担保する菅井一郎はやはりすごい。
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