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[コメント] やくざ絶唱(1970/日)

素晴らしいのが勝新の喧嘩シーンで驚くほどのスピード感、観客が予想する一瞬前に拳固や蹴りを入れており実に痛快。役者が上手いのか演出編集が上手いのか、たぶん両方なのだろう。特に必然性もなく転落する大谷直子がダイニチ映配好み。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
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ヤクザの兄貴が自分の妹だけを可愛がる。『あにいもうと』みたいな定番劇。狭い家、腹違いの妹の大谷直子は「兄ちゃんヤクザはカスよ」と堂々批難する。「お前は大学へ行け」とカツアゲの金で鞄を買い与える。夜休んでいる大谷の腰に頬当てる仕草の断片は敷衍されなかったが心に残る。ヤクザの汚いカネで勉強したくない、早く自分で稼ぎたいと希望する大谷の心境は判る。親に重圧受ける子供はそうしたものだろう。しかし処女捨てちゃう心理というのは判らない。川津の先生襲って「汚れたかったの」はダイニチ配映系列なのだろう。「これからも自分勝手に生きるわ」と勝新に云い渡して家出。

勝新と同棲している大地喜和子は勝新と素晴らしいペアで「スベタ」「ヒモ」と貶し合う序盤のギャグから痛快。舞台はロケかセットか不明だが四谷警察署の看板が見えるから、四ツ谷の坂下の貧民街の設定なのだろう。原作は「西成山王ホテル崖の花」だから大阪の話なのだろう。大谷が田村正和とデキて、勝新は母親の荒木道子強請って、という後半は地味。勝新はトルコ対決で死ぬべくして死ぬ。トルコ風呂は初期の蒸し風呂だが、奥の方に転がって死んでしまう。

(評価:★4)

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