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[コメント] 花の白虎隊(1954/日)

霧島昇の演歌に乗せて白虎隊の顚末が淡々と語られ、有名な話につき驚きはないが細部に学びがある。雷蔵デヴュー作で勝新もいるが、いい役貰った花柳武始が印象的。峰幸子小町瑠美子の丸顔美人ふたりが特撮映画かと疑われるほど瓜二つで幻惑させられる。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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「明治元年、維新の偉業成らんとして、錦旗東征」空砲撃たれてお馬の行進。「独り幕府に殉ぜんとするは会津一藩のみ」。畳に黒板と座り机、英語教えている塾日進館も今日で終わり。先生三木隆と生徒は議論。生徒は、朝敵呼ばわりでは死んでも死に切れません。先生は、公武合体唱えてきたのだ、天朝に逆らったことは一度もない。しかし会津人は頑固、臨機応変に態度を変えることができなかった。それに会津は徳川幕府最後の盾、薩長にとっては障碍なのだ。嘆願書も薩長に却下された。諸君も学業を投げうって諸君の国土を護らねばならん。男はみんな国境警備、町中は子供女ばかり。

フランス留学志望の秀才花柳武始は、戦なんかしなくって済まんのかと云って生徒と喧嘩。妹で雷蔵の彼女峰幸子(丸顔美人)が縫った軍服でおどけて行進してみせて虚しがり、戦争のない国に連れて行ってと縋る小町瑠美子(丸顔美人。区別つかない)を振り切る。一方、国のために死ぬ気満々の雷蔵は、兄戦死の報を受け、一家の主となった立派に家名を上げて見せますと誓うのだった。

東征軍、桐野黒川弥太郎は仙台攻めやめて、マイナーな石筵の一点突破で婦女子ばかりの会津城を目指そうと当たり前の作戦を披露。えええと会津軍は驚き、滝沢口へ白虎隊初陣、病に臥せっていた片山虎之介(息子は勝新)も張り切って槍振り回す。なぜ爺さんが白虎隊に入れるのだろう。町人たちは町を逃げ、兵隊見て皮肉を云い、雷蔵の姉阿井美千子も誘われて断っている。

鼓笛隊の行列に送られに白虎隊出陣。16、17歳の部隊(滝花久子のまだ子供の息子小堀清が太鼓練習しているがロールがやたら上手い)。有名は笛のメロディは刻まれない。新式のアームストロング砲ぶっぱなす東征軍に、白虎隊は当たり前のようにまるで歯が立たない。銃の打ち合いもしているが会津の銃は射程が短いと云われている。虎之介は槍で突っ込んで射殺される。花柳はやる気になり小町に別れを告げる。小町そっくりの峰幸子は可憐に長刀振り回し、雷蔵の母入江たか子はふたりで仮初でもと祝言を勧め、雷蔵は峰のために断るが、峰は長髪切り落として祝言を受け入れる。

籠城のため滝沢口の戦場でへたばっている山川歩兵隊を必要とするなか、交代要員の決死隊編成が起案され、白虎隊が志願、先生は将来のある者を殺してはいかんと銃の使えないヘロヘロの老兵連れて行こうと提案するが、殿は白虎隊に頼むのだった。その数30名ほど。鉢巻きが配られ、主題歌「白虎隊」唄うは霧島昇。滝花の息子の太鼓に乗って山川歩兵隊と交代して戦闘。山川隊到着の花火を見て任務遂行、飯森山へ転戦、ぽんぽん撃たれて先生を最初に続々戦死、峰が父の代わりにお城の無事を知らせる鐘叩く音目指して敗走するも、峰も射殺されて音は止み、見ればお城は白煙を上げている。代わりに小町が叩くが、ふたりはトリック撮影が疑われるほど似ているのだった。

白虎隊残数16名。「生きて辱めを受けず」と突撃する者も弾切れて断念。「わがことすでに終われり」「飯森山の土になろう」とひとりが詩吟唸るなか次々自決。滝花の息子だけは私たちのことを伝えよと雷蔵に頼まれて生き残り、彼を保護した鏡獅子みたいな鬘かぶった薩軍の桐野利秋黒川弥太郎は、君たちのような清い青年が明日の日本に必要だった、惜しみても余りある君たちの死だと戦中好みの哀悼を捧げ、霧島昇がも一度唄って曙の太陽が映されて終。

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