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[コメント] 恐怖の足跡(1962/米)

ずけずけ部屋に踏み込む奇怪な隣人リンデンが別の意味でコワいのがとても効いている。河馬みたいなアパートの女主も秀逸。幽霊は石橋蓮司似。ゾンビ集団の登場がロメロより先というのもポイント高いだろう。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







主演は淡路恵子さん似。この人の演技はいいもので、教会でオルガン練習していたらアクマに演奏させられたらしく無音になり、アクマ礼賛の演奏でもさせられたのか神父に怒られるのだが、この時の虚けから悲哀に移る表情がいい。サイレント風の三白眼まで披露している。ただ、オルガンの音と指が合っていないのは詰まらない。劇伴もオルガンだから演奏はたぶん音楽監督なんだろう。とんでもなく豪勢なパイプオルガンが見える。

冒頭でクルマ爆走させて転落するドライバーの娘がまた美人でもっと見たかった。無茶な前列3人乗りで主人公は反対側に座ってひとり怖がっているが、事故後、同乗者の遺体捜索結果を待たずに旅立つのはどうかしている。もっともそれが幽霊らしい行動なのかも知れない。この夜のドライブで遠くに舞台となる廃ダンスホールが見えるのがいいショット。

霊感の予兆で画面を軽く波打たせるタッチがいい(ミステリーゾーンとかに引き継がれた技法か)。そして誰も自分を認めなくなる。この展開が中盤のデパートと終盤のバスステーションの二回あり(オルガンの音が聞こえない件もいれれば三回)、二回目にじゃあバスに無賃乗車してもバレないやと悪知恵を発揮するのだが、すると乗客は幽霊ばかり、悪いことはできないというのが面白い。

終盤は『シャイニング』の幽霊パーティと『ゾンビ』が同時に想起される。廃ダンスホールってのは怖いものだ。「魂のカーニバル」とは何なのだろう。転落した三人が一緒に遺体として発見されるというラストが素晴らしい。主人公が世界と対話できなかったのは、自分が死んでいたからだと一気に説明している。秀逸なホンでした。60年代の独立系のモノクロホラーはどれもレベル高い。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)はしぼそがらす[*]

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