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[コメント] 餓鬼草紙(1973/日)

学園祭で高林監督にご講演いただいたことがあった。そのとき持参していただいたのがこのフィルム。観客はみなラストに驚嘆の声をあげた。80年代半ばの出来事。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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淫乱女に煩悩の火をつけられた若き僧侶が自涜し果てて、飛び散った精液が仏像にねっとりかかるという驚嘆のラスト。客は200人ほどもいただろうか、方々で発せられたうぇっという声にならぬ声に、自分だけは共感するまいと思いつつ、しかしいくらなんでもアザトいなあとの感想を禁じ得なかった。我々の常識を異化するには、80年代のスケベ学生はそもそも僧侶の禁欲というものが遠い世界の話で、このフィルムが何に対して物申しているのか判らず、自分たちのスケベが体よく肯定されただけと受け止めたのだった。

機会があればもう一度観てみたいものだ。感想は変わるだろうか。監督は京都在住、初老の人当りの柔らかな紳士だった。本作はマンハイム国際映画祭グランプリ受賞作品。宗教の厳しい国でこそ正当な評価を受けるフィルムなのだろうか。

(評価:★3)

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