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[コメント] しびれくらげ(1970/日)

ドン底から叫ぶパッション。マスムラのいい処が出た佳作。ダイニチ映配の起き上がりタイトルはめっけもの感がありいつも心躍る。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







玉川良一の親爺の情けない造形が堪らない。なんで金払って彼を眺めねばならないのだろう。狭い借間にベッド入れてエンジのネグリジェ着て、玉川の隣の部屋で寝る篠原涼子そっくりの渥美マリはとても奇怪な存在で、もうこれは父娘とは云わないのではないのだろうか。「俺が邪魔か」「ええ、全部邪魔」なる会話のドン底感。

田村亮の、父親を金属バッドで殴ったというとんでもない回想を、お互い毒親は辛いねと共感する渥美。この共感には気づきがあった。どん底で通い合う心は宗教的ですらあった。

ネグリジェのファッションショーとはリアルなのか冗談なのか。美人局返しという同じ手口での仕返しで纏めるのが見事。ホンは黒シリーズの石松愛弘だが、繊維会社を叩かず逃走資金貰って終わりという収束は、社会悪の指弾より『八月の濡れた砂』路線の自由を時代が求めていたからなんだろう。

(評価:★4)

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